ご家庭の冷蔵庫に、必ずと言っていいほど常備されている牛乳。その牛乳パックの成分表示を見ると、「原材料名 生乳100%」の文字がありますが、“生乳”100%なのに、なぜ商品名はすべて“牛乳”なんでしょうか?実は、生乳と牛乳には、明らかな違いがあったんです。
ひと言でいうと、生乳とは「搾取したままの牛の乳」のこと(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令より)。「えっ?それが牛乳じゃないの?」と思う方も多いと思いますが、乳製品の世界ではこれは牛乳ではないんです。たとえば、牧場に行くと乳搾り体験ができますが、そこで搾った乳は「生乳」。でも、私たちが生乳をそのまま口にすることはありません。搾ったままの生乳には、細菌が含まれているため、食品衛生法により生乳をそのまま販売することはできないんです。
つまり、私たちの手元に届く乳製品はほぼ、「生乳を加工したもの」。生乳を乾燥させると「粉ミルク」に、発酵させると「チーズ」や「乳酸菌飲料」に、分離させると「バター」や「生クリーム」になるんですよ。
発酵もしていない、乾燥もしていない。牛乳とはつまり、生乳に加熱・殺菌処理などをしたものなんです。
実は牛乳にも種類があって、水一滴すら加えていないものが「牛乳」。脱脂粉乳やクリーム、バターなどを加えると、味わいがまろやかな「加工乳」に。ビタミン・ミネラルなどの栄養分、コーヒーや果汁を加えると、コーヒー牛乳といった「乳飲料」になります。でもやっぱり、その素になっているのは「生乳」なんですね。
それに、搾りたての生乳と加工をした牛乳では、やはり味にも違いがあるんです。生乳は、濃厚ながらも後味はスッキリ!それに比べ、牛乳はまろやかな舌ざわりになるそうですよ。
生乳と牛乳の違いが分かったところで、生乳が加工されるまでの流れを見てみましょう。
(1)搾乳
牧場体験などで、乳搾りをするときは手で搾りますが、乳製品の場合は衛生上、外気にふれないようにパイプラインで乳を搾ります。
(2)貯乳
パイプラインで搾られた乳は、そのまま「冷蔵貯蔵タンク」へ。4℃まで冷やし、酪農家で一時的に保存します。
(3)集荷
保冷用タンクローリーで運ばれ、工場に到着。ここから、乳製品になるための検査や加工がスタートします。
生乳は、鮮度が命。おいしさや新鮮さを保つために、工場に運ばれてくるまでにもこういった衛生管理や温度管理が厳しく行われているんです。
生乳がスーパーに辿り着くまでのストーリーに想いをはせると、牛乳がより一層おいしく感じられるかもしれませんね。
ちなみに、グリコのバニラカップアイス「牧場しぼり」は、しぼった生乳をそのまま工場に運んで3日以内にアイスに加工しています。新鮮なミルクの味わいを、ぜひ楽しんでみてください!
※2016年3月公開記事
※2023年9月更新