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生活のヒント

リラックスできないとトイレもスッキリしない!?自律神経とお通じの関係とは

2017.08.31

ストレスフルな状態が続くと、自律神経が乱れ、身体と心の健康にさまざまな不調をきたしてしまうとよく言われていますよね。しかし、この『自律神経』とは、そもそもどんなものなのでしょうか?そして、自律神経の乱れはお通じの調子にも影響を与えてしまうのだとか!

今回は心療内科医である伊藤克人先生に、自律神経とお通じの関係について、詳しくお話をお伺いしました!

そもそも『自律神経』ってなに?

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自律神経とは、心臓や胃腸といった内臓の働きをコントロールする神経のこと。筋肉活動や視覚、聴覚などを司る体性神経とは異なり、私たちが意識しなくても、必要に応じて自動的に働いてくれるのだそう。

「自律神経は、活動している時や緊張している時に働く『交感神経』と、リラックスしている時に働く『副交感神経』の2種類からなります。例えば、激しい運動をした時に心臓の鼓動が速くなるのは、交感神経が優位に働いて、心臓を動かしているから。また、食後は胃腸の働きを司る副交感神経が優位に働いて、食べたものを消化してくれているんです」(伊藤先生)

そのため、より効率的に食べたものを消化し、胃や腸をきちんと働かせるためには、リラックスして食事をとるのがおすすめ。仕事が忙しくて、机に向かったままパンをかじる...といった慌ただしい食事は、副交感神経の働きを弱めてしまいます。

では、自律神経の働きが乱れると、どのような影響が出てくるのでしょうか?

自律神経とお通じの深い関係とは

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忙しすぎる日が続いている時など、長い間ストレスを受けているままでいると、結果的に自律神経のバランスそのものを崩してしまう、と伊藤先生。

「交感神経は、激しい運動のほかに、緊張やストレスなどを感じて脳が『今はピンチだ!』感じると活発に働きます。長時間ストレスにさらされていると脳も緊張し続けることになり、自律神経をコントロールする『視床下部』という部分に負担がかかって、自律神経がうまく働かなくなるのです。その結果、走ってもいないのに動悸がしたり、暑くないのに汗が出てきたり、うまくリラックスできずに胃腸の働きが悪くなってお通じが整わなくなってしまうなど、さまざまな症状が出てしまいます」(伊藤先生)

ストレスが身体にかける負担は相当なもの。なかでも、自律神経のバランスが乱れることによって起こるお通じの乱れは、なかなかやっかいなものなんだそうです。

「自律神経の乱れが原因で起こるお通じの不調は、『過敏性腸症候群』に分類できることが多いですね。例えば、日常生活の中で急におなかが痛くなって下してしまったり、お通じが滞ってしまう状態が交互に繰り返されることがあります。これは過度のストレスが原因であることがほとんどです」(伊藤先生)

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人によっては、大切な試験や会議などで、強い緊張やストレス、プレッシャーを感じることでおなかの調子に影響が出てしまう場合もあるのだとか。

「『脳腸相関』という言葉があります。脳で処理された情報は腸に伝わり、腸における刺激は脳に伝わり、相互に影響しあうことで、自動的におなかの調子を整えているという意味です。しかし、ストレスによって自律神経のバランスが崩れると、ほんの少しの便意でも脳が異常を感じ、何度もトイレに行きたくなってしまうなど、さらにストレスを増やしてしまう原因になることもあるのです」(伊藤先生)

では、このような状態を避けるためには、どんなことに気をつければいいのでしょうか?

今日からできる!自律神経とおなかを整えるための生活習慣

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自律神経の乱れ、また、それによるお通じの乱れを整えるためには、ストレスを解消してリラックスできる生活習慣を作ることが大切です。まずは適度に身体を動かすことがおすすめだと、伊藤先生。

「運動をすると交感神経が働くと先ほど説明しましたが、スポーツをしたあとは、スッキリした爽快感がありますよね。これは、運動後に副交感神経が優位に働き、うまく身体と心がリラックスしているからなんです。いちど心拍数を上げることが必要なので、早歩きでのウォーキングや、軽いジョギングなどがおすすめです」(伊藤先生)

毎日ジョギングしている時間がない...という方は、お風呂の入り方を変えるだけでもストレス解消効果が得られるのだとか。お風呂に入ってリラックス...というのは、誰もが体験していることですね。

「うまくリラックスするためには、38〜40℃程度の少しぬるめのお湯に浸かるのが効果的です。熱すぎるお湯に浸かると、脳が『ピンチだ!』と勘違いして緊張信号が出てしまうので、『気持ちいいなあ』とゆったり浸かっていられるくらいの温度がベストです」(伊藤先生)

このほかに、食物繊維を豊富に含む食べ物を積極的にとるのもいいのだそうです。水溶性食物繊維を含むオートミール、豆類、玄米、柑橘類、りんごなどと、不溶性食物繊維を含む穀類、にんじん、芽キャベツ、かぶ、りんごの皮などをバランスよくとるのが理想です。

前向きな思考で、ストレスなくスッキリ過ごそう!

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自律神経の乱れを防ぐ生活習慣だけでなく、ストレスに負けない思考も身につけたいものですよね。伊藤先生によれば、できごとの『捉え方』を少し変えるだけで、感じるストレスを少なくすることもできるそう。

「例えば、『頑張っても仕事がうまくいかなくて、要領のいい同僚と自分を比べてしまう』といった場合。優秀な同僚はあくまでも『自分にとっての理想の働き方』と捉え、今の自分にできることからひとつずつ取り組むようにしてみてください。すぐに理想通りになる必要はありません。そうやって『自分らしくやれている、これでいいんだ』と今の自分を評価することも大切です。ときには思い切って休むこともいいですし、休息が気分転換になることもありますよ」(伊藤先生)

自律神経は身体と心に密接に関わっているからこそ、その両方から丁寧にケアしてあげることが大事。忙しい毎日だからこそ、無理なく自分をいたわって、おなかも心もスッキリ、前向きに過ごしましょう!

東急病院 健康管理センター所長・心療内科医長 / 日本心療内科学会 上級登録 / 日本心身医学会 心身医療内科専門医 / 日本森田療法学会 常任理事 / 労働衛生コンサルタント 伊藤 克人

この記事の監修者

東急病院 健康管理センター所長・心療内科医長 / 日本心療内科学会 上級登録 / 日本心身医学会 心身医療内科専門医 / 日本森田療法学会 常任理事 / 労働衛生コンサルタント
伊藤 克人

著書に『自律神経失調症を改善する特効法101』(主婦と生活社)、『最新版 過敏性腸症候群の治し方がわかる本』(主婦と生活社)、『専門医が治す!自律神経失調症—ストレスに強い心身をつくる、効果的な両方&日常のケア』(高橋書店)など。

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