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生活のヒント

「おへそのゴマを取るとおなかが痛くなる」は本当?おへそと腸ってどんな関係があるの?

2017.09.04

子どものころ、「おへそのゴマを取るとおなかが痛くなる」と言われたことはありませんか?たしかに、おへその内側には胃腸があり、お母さんのおなかの中にいる間は、へその緒を通じて栄養をとっていました。ということは、おへそと腸は今でもつながっているのかも...?その真実を確かめるため、西新宿きさらぎクリニックの石川尚之先生に、おへそとおなかの関係についてお伺いしました!

「おへそのゴマを取るとおなかが痛くなる」理由って?

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石川先生によれば、「おへそのゴマを取るとおなかが痛くなる」ということ自体は、紛れもない事実なんだそう。

「おへその内側には、胃や腸、肝臓などの臓器を覆っている『腹膜』があるのですが、これは神経がたくさんはりめぐらされた、とても敏感な場所。だから、おへそのゴマを取ると腹膜が刺激され、おなかが痛くなってしまうことがあるんです」(石川先生)

強い力を入れるのはNGということですね。一説によれば、「おへそのゴマは取らないほうがいい」という考えもあるそうですが...?

「全く取らないというのはおすすめできません。というのも、おへそのゴマは、汗や皮脂がほこりや垢と混ざってできたもの。放置すると、細菌が繁殖しておへそに炎症を起こす可能性があります。お風呂でも洗いにくく、汚れがたまりやすい場所なので、定期的にやわらかい布や綿棒などで掃除する習慣をつけるといいですね」(石川先生)

おへそはとてもデリケートな場所。腹膜にダメージを与えないように、清潔を保つのがいいということですね。

おへその役割って一体なんなの?

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強い力を入れておへその掃除をしてしまうと、腹膜が刺激されておなかが痛くなってしまうのは事実。しかし、石川先生によれば、腹膜の中の胃や腸そのものに影響を与えてしまうことはないんだとか。

「おへそから直接腹膜、内臓とつながっているわけではありません。おへそはあくまでも身体の『くぼみ』であり、内臓と腹膜の上には筋肉と皮下組織、皮膚があります。おへその部分はこの組織がほかの場所に比べて薄くなっているので、強い刺激を与えると腹膜の神経も刺激することになってしまうだけ。内臓にダメージを与えることはないのです」(石川先生)

おへそはあくまでも『身体のくぼみ』。おなかの中に直接つながっていたのは、胎児のころだけなんですね。

「皆さんもご存じのとおり、お母さんのおなかの中にいたときは、へその緒を通して栄養や酸素を得ていました。しかし、生まれてきてへその緒を切ってしまえば、おへそはただの『痕(あと)』。なんの役割も持たないのです」(石川先生)

なんと、おへそはおなかの中とは全くの無関係。とはいえ、おへその内側には腸がありますよね。おへそ周りをケアすることで、おなかの調子を整えることはできないのでしょうか?

おへそのまわりを触ると、お通じが滞っているかが分かる!

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実は、おへその周囲を触るとお通じが滞っているかどうかがわかると石川先生。

「お通じが滞っている人は、おへそのまわりを大きく『"の"の字』を書くように触ると、ほかの部分より固くなっていたり、その部分の血行が滞って冷たくなっていることが多いんです」(石川先生)

この"の"の字は、お通じと深い関わりを持つ大腸がある場所。お通じが滞っているときは、ここを触ると、しこりのように固く感じることがあるのだそう。

また、おへその近くは、消化に関わる小腸がある場所。ここが固くなっていたり、冷えている場合は、血行不良が起こっていることが多く、その結果、身体の冷えや消化不良からお通じが滞ってしまう原因になることもあるのだとか。

「おへその付近(小腸)と周囲(大腸)を、円を描くようにマッサージしてあげると、血行と腸のぜん動運動(排出しようとする動き)を促進し、お通じを改善することができます。また、冷えはお通じの大敵。湯たんぽやカイロなどをおへそ付近にあてたり、温かいものを飲んで腸を温めるのは、お通じ改善方法としてとても効果的です」(石川先生)

おへそ周りを温めることは、自律神経のバランスを整える効果もあるため、『最近疲れているな』『少し頑張りすぎているな』などと感じたときに、おなかを温めるのもリラックスするのに効果的です。

ただし、先ほどもご説明したように、おへそ付近はデリケート。あまり強い力で押したりマッサージすると、痛みを感じる場合もあります。あくまでも優しく行いましょう。

まずはおへその周りをケアして、お通じの調子を整えよう

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もちろん、おへその周りをマッサージしたり温める以外にも、お通じを整える方法はたくさんあると石川先生。

「基本的なことですが、一番大切なのは、規則正しい生活を送ることです。ストレスを上手に発散すること、十分な睡眠をとること、適度な運動をすること、食物繊維やビフィズス菌・乳酸菌などの善玉菌をとることを意識したバランスのよい食事をすること。ストレスをためると自律神経のバランスが乱れて、お通じへの影響以外にも、さまざまなデメリットが起こります」(石川先生)

また、『もう○日もお通じがない...』と悩んでいる人も多いですが、内科的には、お通じの頻度は人によって違うのはふつうのこと。2日に1回程度しかお通じがなかったとしても、トイレに行ったあとにスッキリ感があれば心配ないのだそうです。

「それよりも、お通じがないことを心配しすぎて、ストレスをためてしまうことのほうが考えもの。あまり悩み過ぎず、空いた時間におへその周りをマッサージしてみたり、温めることでリラックスしてみたりと、できることからはじめてみてくださいね」(石川先生)

生まれてくる前の私たちにとっては、文字どおり『生命線』だったおへそ。今では、おなかの健康をチェックするための大切な『しるし』になってくれているようです。今日から、おへそを見る目が変わってくるかも?

西新宿きさらぎクリニック 院長 / 内科・消化器科・肛門科担当 石川 尚之

この記事の監修者

西新宿きさらぎクリニック 院長 / 内科・消化器科・肛門科担当
石川 尚之

苦しくない胃・大腸内視鏡検査に定評があり、年間3,000例を実施。便秘に悩む女性のために、便秘外来を開設。

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