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生活のヒント

大人とは違う?子どものお通じを整える方法とは

2017.10.26

お通じの悩みを抱えているのは、大人だけではありません。実は、子どものお通じが滞ってしまう原因は、私たち大人とは少し違うのだそう。今回は、小児消化器疾患を専門にする順天堂大学小児科・思春期科医師の工藤孝広先生に、小さな子どものお通じ改善のコツについて、お話をお伺いしました!

親子で一緒に確認!子どもの理想のお通じの回数とは?

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「まず、理想的なお通じの回数は年齢によって異なります」と、工藤先生。生後1ヵ月までは1日4回、2歳までは1日1〜2回、4歳以上は1日1回が理想的なお通じの回数なんだそう。

「国際的には、1週間に2回以下だと、お通じが滞っていると判断します。この基準は、大人でも子どもでも同じ。そのため、3〜4日に1回しかお通じがない場合は、改善したほうがいいでしょう」(工藤先生)

子どものお通じが滞っている場合、大人と違うのは、『本人に自覚がない場合がある』ということ。定期的にお通じがない状態が続いていると、それがクセになってしまうこともあるのだそうです。

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「もっとも重要なのは、お通じがあったかどうかを子どもにきちんと尋ねることですね。きちんと出せたかどうかだけでなく、ウンチがどんな状態か、硬くないか、出血していないかなどを本人にもきちんと確認させるようにするのがいいと思います」(工藤先生)

硬かったり、出血がある場合はお通じが滞っている可能性が高いため、トイレに行く頻度を確認したり、親子で日記やカレンダーにつけるなどして、確認する習慣をつけるのがいいでしょう。

子どものお通じは見極めるのが難しいもの。それもそのはず、お通じが滞ってしまう原因に、本人が『トイレに行くのをガマン』してしまうことが大きいというのです。

出したいのに出してない!?子どものお通じが滞る原因は『ガマン』

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大人のお通じが滞る原因は、偏った食生活や水分不足、運動不足、ストレスなど、生活に原因があることが多いですよね。しかし、小さな子どもの場合、特に幼児期は、ウンチが硬かった時に痛い思いをしたのが原因になってしまうことが多いのだそう。

「『お通じ=痛いもの』と記憶してしまうと、痛い思いをしたくないがために、トイレに行きたくてもガマンしてしまうようになるんです。すると、おなかの中で水分がなくなったウンチは余計に硬くなり、次にトイレに行った時にはもっと痛い思いをするようになる。その悪循環を繰り返すうちに、直腸がまひして、お通じがきたことを感じにくくなってしまいます」(工藤先生)

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特に2歳半〜3歳くらいの間、トイレトレーニングが始まる時期に、子どものお通じの『ガマン』が起こりやすいのだそうです。

「子どもにガマンを強いてしまう場合もあるので、厳しいトイレトレーニングは避けたほうがいいでしょう。また、それより前の離乳食を開始する乳児期後半も、食べるものの変化によって腸内細菌のバランスが変化するため、お通じが滞りやすいといわれています。この二つの時期できちんと対策を立ててあげることで、お通じが滞らないようにできるといえます」(工藤先生)

では、子どものお通じを改善するには、どんなことに気をつけるのがいいのでしょうか?

子どものお通じ改善のコツは『痛くないように、出す』こと

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小さな子どものお通じを改善する上で重要なのは、『お通じは本来痛くないもの』だということを教えてあげることです。

「お通じがあるかどうか、お通じの状態はどうかを毎回確認するとともに、きちんと出せたらほめてあげたり、健康なお通じは痛くないことなどを、子どもに理解させることが大切です」と、工藤先生。

大人はお通じが滞っていれば頑張ってトイレに行きますが、子どもはいちど悪循環におちいってしまうと、抜け出すのが難しいもの。親子で根気よく、意識の改善をするのがいいようです。

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「とはいえ、いくら言って聞かせても、お通じの度に痛みがある状態を改善しなければ意味がありませんよね。硬いお通じを柔らかくするには、水分不足、運動不足にならないように気をつけるなど、大人と同じ方法で大丈夫です。野菜やフルーツなどで食物繊維を多めにとらせるのも有効ですね」(工藤先生)

また、なかなか悪循環から脱却できない場合は、痛みを伴わずにお通じが出せるように、薬や浣腸を使うのもひとつの手なんだそう。

「長期間お通じがない場合は、とにかく出させてあげることが最優先です。子どもは薬よりも浣腸を嫌がることが多いのですが、何もせずに痛いままの状態を続けていることのほうが、子どもにとっては大きなマイナス。悪化すると痛みが強くなったり、おなかの痛みや嘔吐にまで至ることもあります。

あまりにも嫌がる場合や、お通じが1週間に2回以下しかない場合は、病院を受診してもいいかもしれません。『お通じは痛くないもの』とわかると、だんだん嫌がらないようになりますよ」(工藤先生)

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子どもの身体はデリケート。痛くてお通じが怖くなってしまわないよう、身体の中からはもちろん、恐怖心を取り除いてあげるようなケアも必要になってくるようですね。

また、生まれつきお通じが滞りやすい体質の子もいるのだとか。乳児期からお通じが硬かったり、回数が少ない場合も、浣腸や座薬、綿棒などを使って『まず出してあげること』が重要。食事や水分などで補えない場合もしっかりケアしてあげることで、出ないクセがつくのを防ぎましょう。

大切なのは、『本人と一緒にお通じをチェックすること』『痛みを取り除いてあげること』『お通じは痛くないと教えてあげること』。食事や運動はもちろん、親子で一緒に取り組むつもりで、根気よく乗り越えられればいいですね。

医学博士 / 順天堂大学医学部小児科学講座・准教授 / 日本小児科学会専門医・指導医 / 日本消化管学会胃腸科専門医・指導医 / 日本アレルギー学会専門医・指導医 / 日本小児栄養消化器肝臓学会認定医 工藤 孝広

この記事の監修者

医学博士 / 順天堂大学医学部小児科学講座・准教授 / 日本小児科学会専門医・指導医 / 日本消化管学会胃腸科専門医・指導医 / 日本アレルギー学会専門医・指導医 / 日本小児栄養消化器肝臓学会認定医
工藤 孝広

平成9年 順天堂大学医学部卒業。小児の消化器疾患、アレルギー疾患を中心に、小児の病気について積極的に対応します。

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