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生活のヒント

太るのは「脳」のせい?食欲をコントロールするコツ

2018.10.24

おなかがいっぱいでも好きなデザートはつい食べてしまう――。そんな経験、誰にでもありますよね。とくに、これからやってくる忘年会シーズンは誘惑が多くなるもの。そんな風に「食べすぎて太る」理由は「脳」にもあることをご存じでしょうか?

今回は味覚と食行動の脳科学を専門とする、畿央大学健康科学部教授・山本隆先生監修のもと、「脳」と「食欲」の関係についてお届けします。カロリーオーバーしがちな年末年始の前にチェックしてみてくださいね。

人間は「脳」で太る?「2つの食欲」とは

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人間には、「本能」「記憶や理性」に関わる"2つの食欲"があり、それぞれ「脳」の働く部分が異なります。

〇第1の食欲「本能に基づく食欲」

空腹により「何かを食べたい」と思う気持ちで、動物ももっている食欲です。脳の「視床下部(*)」にある「摂食中枢」が働きます。

*視床下部...脳幹部の間脳にある。体温調節機能や性行動、睡眠など、生命維持に重要な働きに関わります。

〇第2の食欲「過去の記憶に基づく食欲」

「〇〇のケーキが食べたい」「週末は〇〇のお店でランチセットにしよう」など、過去の情報に基づく食欲です。脳の「前頭連合野(*)」が働きます。

*前頭連合野...前頭葉にあり、人間らしい精神作用、知的活動を生み出す源ともいわれています。

いわゆる「別腹」が起こるのも「第2の食欲」によるものです。「別腹=甘味」というイメージがありますが、記憶のなかで「大好物」である食べ物ものが当てはまるため、決して甘いものだけには限りません。

「おいしいすぎる」から「食べすぎる」?

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山本先生によると、人間にはおいしいものを食べすぎてしまい、おいしいものを食べるともっと欲しいと思う、脳の仕組みがあるそうです。

とてもおいしいものを口にすると「おいしいと実感し→さらに食べたくなり→実際に食べる」という行動が起こります。これは「本能に基づく食欲」が高まり、摂食中枢が過剰に働いている状態です。

たとえば、野生の動物は健康体であれば、バランスのよい体型をしていることが多いはず。厳しい自然環境の中で太るほど食べる余裕はないですし、おいしいもののレパートリーも少なく、おいしいものがあったとしても必要な分でストップできる「穏やかなおいしさ」だからです。

「食べすぎない」ために。ダイエットの前に知っておきたいこと

記憶に基づく「第2の食欲」を生じるはずの「前頭連合野」のもう一つの働きは、本能に基づく「第1の食欲」を意識的にコントロールできるということです。ではどのようにコントロールすればよいのでしょうか?

●今日からできる!食欲をコントロールするコツ2つ

〇「食べたい」ものを目の前から隠す 

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好物が目の前にあると「おいしい」という記憶が刺激されるため、「誘惑する食べ物はできるだけ目にしないようにすること」が重要です。好きな物を隠す、好物がある場所に近づかない、グルメ情報に触れないといった工夫をしてみましょう。

〇食事の内容・時間を記録して食生活を見直す

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食事の内容や時間が不規則になりがちな人、ダラダラ食べてしまうような人はまず、食生活を客観的に見直しましょう。

ノートやデータでメモをする、写真を撮るなど、自分なりの方法で振り返れるようにします。ちょっとした間食も必ず記録すること。食生活を見直すことで「食べすぎていないか」「おやつはガマンできたかも?」などと見直して改善するチャンスになります。

また、「食べ出したら止まらない」ものがないか、探してみてください。発見できたら「目にしない」ように意識してみましょう。夕食までの時間が空き、間食をしてしまう人は200キロカロリー程度の間食をとるのもよいでしょう。

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このほかにもダイエット中は「よく噛む」「口に入れる量を減らす」「盛り付けのときにあらかじめ1割程度少なくよそう」などのコツもおすすめです。とくに、よく噛むと「味をより感じる」というデータもあり、濃すぎる味付けを避けることにもなるため、健康にもよいのだとか。1口につき、20~30回ほど噛むのを目標にしましょう。

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ダイエット中に「おいしいものが食べたい」「でも太りたくない」という葛藤はつきもの。本能のまま食べるのではなく、理性的に(つまり、頭を使って)食べる工夫をしてみてはいかがでしょう。

[文・構成 BifiXヨーグルトマガジン編集部]

 
畿央大学 健康科学部 健康栄養学科 教授 / 畿央大学 健康科学研究所 所長 山本 隆

この記事の監修者

畿央大学 健康科学部 健康栄養学科 教授 / 畿央大学 健康科学研究所 所長
山本 隆

大阪大学人間科学部教授、大阪大学名誉教授を経て、畿央大学健康科学部健康栄養学科教授と畿央大学研究所所長を併任。専門は味覚と食行動の脳科学。おいしさを感じる脳のメカニズムや食行動について研究を行っている。2006年安藤百福賞、2007年日本味と匂学会賞、2011年杉田玄白賞を受賞。2014年6月から『NPO法人 うま味インフォメーションセンター』理事長を務める。著書に『美味の構造』(講談社)、『おいしいとなぜ食べすぎるのか』(PHP新書)、『ヒトは脳から太る』(青春新書)などがある。

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