太るのは「脳」のせい?食欲をコントロールするコツ
おなかがいっぱいでも好きなデザートはつい食べてしまう――。そんな経験、誰にでもありますよね。とくに、これからやってくる忘年会シーズンは誘惑が多くなるもの。そんな風に「食べすぎて太る」理由は「脳」にもあることをご存じでしょうか?
今回は味覚と食行動の脳科学を専門とする、畿央大学健康科学部教授・山本隆先生監修のもと、「脳」と「食欲」の関係についてお届けします。カロリーオーバーしがちな年末年始の前にチェックしてみてくださいね。
人間は「脳」で太る?「2つの食欲」とは
人間には、「本能」と「記憶や理性」に関わる"2つの食欲"があり、それぞれ「脳」の働く部分が異なります。
〇第1の食欲「本能に基づく食欲」
空腹により「何かを食べたい」と思う気持ちで、動物ももっている食欲です。脳の「視床下部(*)」にある「摂食中枢」が働きます。
*視床下部...脳幹部の間脳にある。体温調節機能や性行動、睡眠など、生命維持に重要な働きに関わります。〇第2の食欲「過去の記憶に基づく食欲」
「〇〇のケーキが食べたい」「週末は〇〇のお店でランチセットにしよう」など、過去の情報に基づく食欲です。脳の「前頭連合野(*)」が働きます。
*前頭連合野...前頭葉にあり、人間らしい精神作用、知的活動を生み出す源ともいわれています。
いわゆる「別腹」が起こるのも「第2の食欲」によるものです。「別腹=甘味」というイメージがありますが、記憶のなかで「大好物」である食べ物ものが当てはまるため、決して甘いものだけには限りません。
「おいしいすぎる」から「食べすぎる」?
山本先生によると、人間にはおいしいものを食べすぎてしまい、おいしいものを食べるともっと欲しいと思う、脳の仕組みがあるそうです。
とてもおいしいものを口にすると「おいしいと実感し→さらに食べたくなり→実際に食べる」という行動が起こります。これは「本能に基づく食欲」が高まり、摂食中枢が過剰に働いている状態です。
たとえば、野生の動物は健康体であれば、バランスのよい体型をしていることが多いはず。厳しい自然環境の中で太るほど食べる余裕はないですし、おいしいもののレパートリーも少なく、おいしいものがあったとしても必要な分でストップできる「穏やかなおいしさ」だからです。
「食べすぎない」ために。ダイエットの前に知っておきたいこと
記憶に基づく「第2の食欲」を生じるはずの「前頭連合野」のもう一つの働きは、本能に基づく「第1の食欲」を意識的にコントロールできるということです。ではどのようにコントロールすればよいのでしょうか?
●今日からできる!食欲をコントロールするコツ2つ
〇「食べたい」ものを目の前から隠す
好物が目の前にあると「おいしい」という記憶が刺激されるため、「誘惑する食べ物はできるだけ目にしないようにすること」が重要です。好きな物を隠す、好物がある場所に近づかない、グルメ情報に触れないといった工夫をしてみましょう。
〇食事の内容・時間を記録して食生活を見直す
食事の内容や時間が不規則になりがちな人、ダラダラ食べてしまうような人はまず、食生活を客観的に見直しましょう。
ノートやデータでメモをする、写真を撮るなど、自分なりの方法で振り返れるようにします。ちょっとした間食も必ず記録すること。食生活を見直すことで「食べすぎていないか」「おやつはガマンできたかも?」などと見直して改善するチャンスになります。
また、「食べ出したら止まらない」ものがないか、探してみてください。発見できたら「目にしない」ように意識してみましょう。夕食までの時間が空き、間食をしてしまう人は200キロカロリー程度の間食をとるのもよいでしょう。
このほかにもダイエット中は「よく噛む」「口に入れる量を減らす」「盛り付けのときにあらかじめ1割程度少なくよそう」などのコツもおすすめです。とくに、よく噛むと「味をより感じる」というデータもあり、濃すぎる味付けを避けることにもなるため、健康にもよいのだとか。1口につき、20~30回ほど噛むのを目標にしましょう。
ダイエット中に「おいしいものが食べたい」「でも太りたくない」という葛藤はつきもの。本能のまま食べるのではなく、理性的に(つまり、頭を使って)食べる工夫をしてみてはいかがでしょう。
[文・構成 BifiXヨーグルトマガジン編集部]
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