おしりが切れた...病院に行くべき?専門医に聞く、痔の予防と改善のヒント
人には相談しづらい、おしりのトラブル(痔)。「切れた...」「トイレのときに痛い」というときでも、病院に行くのは恥ずかしいもの。今回は日本人の約3割が経験するともいわれる「痔」の予防と改善のヒントについて、日本初の女性肛門科専門医である、マリーゴールドクリニック・山口トキコ院長監修のもとお伝えしていきます。
若い女性に多い「痔」の種類は?女性がなりやすい理由とは
おしりのトラブル(痔)は、性別や年齢を問わず、おこりますが、「どちらかというと、女性のほうが気をつけなくていけない」という見方もあるのだとか。
痔の大きな原因はお通じの滞り(便秘)。生理前や妊娠中に分泌される、女性ホルモンの「黄体ホルモン」はお通じを滞らせるといわれています。さらに、出産時のいきみが、おしりのトラブルを引き起こしたり、もともと持っていた不調を悪化させたりすることも。それから、女性に多い「冷え」もよくありません。
痛みや出血など、不快なトラブルをもたらす痔には、大きくわけて以下の種類があります。
◎痔の主な種類
切れ痔(裂肛)...硬い便が通ることで、肛門の皮膚が裂けたり、切れたりする。若い女性に多い。
いぼ痔(内痔核)...排便時のいきみやお通じのゆるみ(下痢)によるこすれにより、肛門付近がうっ血して「いぼ状」の腫れができる。痔のなかでもっとも多い。
いぼ痔(外痔核)...うっ血による「いぼ」が肛門の外側にできる。女性は妊娠・出産でなることも。
痔ろう...肛門まわりが化膿しおこる。主な原因はお通じのゆるみで男性に多い。
山口先生によると「若い女性に多い『切れ痔(裂肛)』は、軽ければ生活習慣の見直しや市販薬の使用により、1~2週間程度で自然に改善していくことも多い」そうです。
トイレでいきむのは3分以内に!痔の予防と改善のヒントは生活習慣の改善にアリ
それでは、痔を予防し、改善するためには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。以下のチェックポイントで思い当たることはありませんか?
◎おしりのトラブルを招きがちな生活習慣の例
☑お通じが滞りがち
☑食事のタイミングが不規則で、朝食を食べない
☑辛いものなど、刺激物が好きでよくとる
☑お酒を飲みすぎてしまう
☑トイレで長時間いきんでしまう
☑立ちっぱなし・座りっぱなしなど、長時間、同じ姿勢をとることが多い
☑冷えやすい
いずれも、おしりにはよくないことばかり。ひとつずつ解消しましょう。とくに、痔の最大の原因となるお通じの滞りは、食生活や運動、水分補給などで改善を目指してくださいね。
・食生活の見直しは必須。辛い物、アルコールのとりすぎはご注意を
食生活が乱れがちな人は、1日3食をきちんととることを心がけて。とくに、朝の排便を促すためにも、朝ごはんは大切です。また、硬い便をつくらないためにも水分や食物繊維をしっかりとりましょう。水分はスープなど汁物を含めて考えてもOKです。
気をつけたほうがいいのは、辛い物とアルコール。トウガラシなどの香辛料は消化されずに排せつさせるため、肛門の粘膜を傷つけてしまう可能性があります。アルコールは飲みすぎると肛門のうっ血を招くことも。どちらも、おしりのトラブルが気になるときは控えたほうがよいでしょう。
そのほか、こんなことにもご注意ください。
・トイレでいきむのは3分以内に!
トイレの姿勢そのものが肛門に負担をかけます。さらに、いきむ時間が長くなることでうっ血をおこしやすくなります。3分程度がんばってもウンチが出なければ、一度トイレから出ましょう。また、おしりのトラブルがあるときに温水洗浄便座を頻繁に使用すると、肛門への刺激が強すぎることも...。長時間の使用は避け、1回25秒内の使用を目安にしましょう。
・立ちっぱなし、座りっぱなしを避ける
長時間の立ちっぱなし、座りっぱなしなど、同じ姿勢を続けていると、血流が滞り、肛門がうっ血しやすくなります。できれば、少し歩いたり、ストレッチしたりして、姿勢をこまめに変えることを意識しましょう。
・身体を冷やさない
冷えると血行が悪くなり、うっ血が進みやすくなることも。入浴時はしっかり湯船につかり、温まりましょう。
市販薬を使用してもいい?医療機関を受診すべきか迷ったら...
「できれば病院に行かずにすませたい...」と思うおしりのトラブル。程度が軽い場合は、生活習慣や食事の見直しとあわせて市販薬で様子をみてもよいそうです。ただし、市販薬を使用する目安は1週間程度とのこと。薬を使用しても改善しない場合、少しでも不安な症状がある場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。
気になるおしりの悩みは早めに予防・改善して、快適にすごしたいですね。
[文・構成 BifiXヨーグルトマガジン編集部]
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