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日本初の液体ミルクについてもっと知りたい!
製品開発を進めるGlico 研究員にインタビュー

※液体ミルク「アイクレオ 赤ちゃんミルク」発売(2019年3月5日)以前の記事です。
※母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養です。

日本初の乳児用液体ミルクを江崎グリコが製品化へ――。
2018 年11 月に、そんなニュースを新聞やインターネットで目にした⽅も多いのではないでしょうか?製品化が発表されて以来、Glico の液体ミルクに対して、お客様からも期待を寄せる多くの声をいただいています。
その一⽅、これまで馴染みのなかった製品に対して「液体ミルクってなに?」「どんなときに使えるの?」「安全性は問題ないの?」といった疑問をお持ちの⽅もいらっしゃるのが現状です。

今回は、発売前の乳児用液体ミルクについてみなさんに知っていただくために、液体ミルクの基礎知識と、製品開発を指揮するGlico 研究員、永富宏さんのインタビューをお届けします。

そもそも液体ミルクってどんなもの?

液体ミルクは、調乳済みのミルクが液体状で販売されている製品です。お湯や水に溶かすことなく、哺乳瓶に移し替えればそのまま⾚ちゃんに与えられるのが特徴で、常温保存が可能なため、外出時の持ち運びやストックとしても便利な製品といえます。
2018年8月8日に食品衛生法の『乳等省令』、健康増進法の『特別用途食品制度』において、液体ミルクに関する基準が定められ、日本で乳児用液体ミルクの製造・販売が解禁される運びとなりました。

■液体ミルクに注目が集まったきっかけは熊本地震

日本で液体ミルクが⼤きく注目されるようになったのは、2016 年4 月に起こった熊本地震がきっかけでした。
震災の被害により断水が続く中で、フィンランドから支援物資として届いた液体ミルクに脚光が集まったのです。それ以来、各所で署名運動が行われるなど、国内における液体ミルク製品化への動きが拡⼤しました。

■海外で広く普及している液体ミルク

日本では現在、「母乳」「粉ミルク」「両者混合」の3通りの授乳スタイルがありますが、世界の多くの国々ではもう1つのポピュラーな選択肢として、液体ミルクがあります。とりわけ、女性の社会進出が進んでおり育児先進国と呼ばれる北欧で広く普及しており、粉ミルクと液体ミルクの販売量の割合はスウェーデンでほぼ半々、フィンランドでは液体ミルクが9割以上となっています。

■国内でも高まる液体ミルクの認知

日本国内でも、液体ミルクに対する注目度が増しているのが現状です。
江崎グリコが2020年1月~2月に1,000人を対象に実施した『育児・授乳の実態調査』では、液体ミルクについて「詳しく知っており、使用している、または使用したことがある」「詳しく知っているが、使用したことはない」「ある程度知っている」と答えた人は合わせて87.1%でした。

液体ミルク発売前となる2018年10月に実施した調査結果が37.5%だったので、49.6%も上昇しており、世間的な関心が高まっているといえます。

液体ミルクのメリットって?

1.泣いている赤ちゃんを待たせない!授乳までがスピーディー

赤ちゃんにとっては母乳が最良の栄養ですが、母乳の出が悪いときってありますよね?そんなときに液体ミルクは母乳の代替品として使用できます。
おなかをすかせて泣いている赤ちゃんをあやすのはママやパパ、家族にとってもつらいもの。液体ミルクは哺乳瓶に移せばすぐに使えるため、赤ちゃんを待たせることなく授乳できます。

2.常温保存が可能!外出時の持ち運びやもしものときのストックにも◎

災害時には、ママがストレスを抱えて母乳が出にくくなってしまうことも…。
また、粉ミルクを作ろうと思っても清潔なお湯の入手が難しい場面も想定されます。そんなとき、お湯で溶かす必要がなく、封を切ればそのまま飲める乳児用液体ミルクが大いに役立ちます。
また、液体ミルクは常温保存が可能なため、普段の持ち運びにも便利です。
外出先で粉ミルクを与える場合は、水筒に入れた熱湯や湯冷ましを一緒に持ち運ぶ必要がありますが、液体ミルクであれば、哺乳瓶と一緒に持ち運ぶだけでOK。赤ちゃんと一緒のお出かけがぐんと楽しくなりますね。

3.調乳不要で誰でも簡単に授乳が可能!

液体ミルクはお湯や水に溶かす必要がなく、調乳の失敗がありません。
授乳に慣れていないパパが⾚ちゃんと過ごすときや、赤ちゃんを親戚に預かってもらうときなどでも、液体ミルクを一緒に渡しておけば、ママも安心ですね。

Glico の乳児用液体ミルク開発者・永富宏さんインタビュー

とても便利な液体ミルクですが、これまで馴染みのなかった製品だけに、「まだまだ皆さんが知りたいことが沢山あるに違いない!」「いっそ作っている人に直接聞いてみよう!」と思い立った筆者が、製品の研究開発を進める江崎グリコ株式会社昭島オフィスに取材に行ってきました。
液体ミルクの研究開発担当者の永富宏さんに、実際に製品を作っている研究員さんが、どんな想いを持って液体ミルクの製品化を進めているのか、伺ったインタビューをお届けします。

ー最初に読者の皆さんに、永富さんのこれまでのご経歴など、簡単な自己紹介をお願いできますか?

商品開発研究所乳業グループの永富宏です。
Glico では乳製品の商品開発をずっと行っていまして、特にカフェオーレの開発に長く携わってきました。一応、日本に29人しかいない『コーヒー鑑定士』という肩書きも持っていたりします(笑)

ー日本に29人!すごいですね。そんな『乳製品のプロ』の永富さんですが、液体ミルクの開発には当初から携わっていらっしゃったのでしょうか?

社内で液体ミルクを作るという話が挙がった当初から私は携わっています。最初は開発に直接関わるのは私一人だけだったんですけど、『アイクレオ』の粉ミルク担当者など、多くの方に意見をもらいながら作り始めたというのが、始まりです。

ー社内で液体ミルクを作ろうという声が挙がったきっかけは何だったんでしょうか?

2016年の熊本地震の際に支援物資の液体ミルクが注目された中で「乳製品に携わる我々が災害弱者である⾚ちゃんに対して何かできることはないか?」という声が社内でも、半ば自然発生的に挙がりました。その中で、私自身も「これはぜひやるべきだ」という使命感を持った、という感じですね。

ー永富さん自身は開発担当者になる前から液体ミルクにはご興味があったんですか?

実は、恥ずかしながら私自身も熊本地震の際に「こんなものがあるのか」と、初めて知ったというのが正直なところなんです。私自身に子供が3人いまして、私と妻で粉ミルクの授乳を分担する中で、特に夜中に眠い中で調乳をして、ミルクを与えて、という⼤変さを知っているだけに「これがあれば便利だろうな」というのは、実感としてありましたね。あのときの夫婦喧嘩は、この液体ミルクがあればなかったなあ、と思ったり(笑)

ー(笑) そこから開発期間というとどれぐらいでしたか?

プロジェクトが本格始動したのが2016年の秋ですので、丸二年ぐらいです。

ー最初は1名だったチームも徐々に拡大して…。

今はチームで開発を進めていまして、私以外のメンバーが実際に工場で製品を作ってきて「細菌がいないかどうか」「栄養成分がキープされているか」「保存中に味や色が変化していないか」などを細かくチェックしながら開発を進めました。私自身は、今(2018年12 月時点)は販売に向けた行政とのやり取りがメインになっています。

ー開発で苦労した点はありましたか?

この液体ミルクの中身というのは、ものすごく沢山の栄養成分で構成されているんですね。そこに至るまでに、様々な文献を参考にしながら決めていく部分というのが、まず苦労しました。あとは保存について、単純に粉ミルクを殺菌して紙パックに詰めたとしても、長期間保存するうちに栄養成分も変化しますし、色も褐変してしまいます。
他にも大小様々な課題が発生する中で、沢山の栄養素と作業工程を一つ一つ見直しながら、何度も作り直しましたね。国内に液体ミルクの前例がない中で、当然我々も知見がないところからスタートしているので「試行錯誤を繰り返しながら諦めずに作り続けた」という感じですね。

ー課題解決のための答えがバチっとハマる瞬間があるものなんでしょうか?

例えば、殺菌に関して大きな壁にあたったときは、様々な文献を調べまして「これならうまくいくかもしれない」というものを発見して、採用してみたら見事に成功した、といったことはありましたね。でも、実際にはそのあとにもご説明しきれないぐらい様々な課題が出てくるのですが (笑)

ーそれらすべてを乗り越えて今に至るわけですね。

はい。皆様に安心してお使いいただける製品をお届けするために、課題を一つずつクリアしながら、開発を進めていきました。

ー製品化が発表されてからの反響はいかがですか?

お客様相談センターにも「待ってました」という声は本当に沢山いただいていて、我々のチームにも届いています。他にも自治体や防災関連の団体の皆様からも、ポジティブな反響をいただいています。

ーでは、改めて液体ミルクというものについて教えてください。使用されるシーンとしては災害時には限定しないということですね。

やはり大きな災害が増えている中で、災害時に必須のものになっていくのではないかと思います。ただ、利用シーンをそこに絞るわけではなくて、例えばお父さんの育児参加に代表されるように、育児の多様性を生むことで、育児に対する負担を減らす、という面でも役立ってほしいという気持ちを持っています。

ーあとお客様が知りたいのは「利便性は高いけど栄養面はどうなの?」という点かと思います。例えば粉ミルクで育児している親御さんで、液体ミルクに切り替えたい方もいらっしゃるかと思いますが。

国際基準や、消費者庁が定めている「この成分がこれだけ入っていないと販売できない」という、かなり細かな基準があって、そちらを満たしていますので、栄養価の面からも日常的に安心してお使いいただけるものになっています。

ー使用方法としては、パックに入っている液体ミルクを哺乳瓶に移し替えて使用する、ということですよね?この形態は海外でも同じなんでしょうか?

そうですね。液体ミルクと、消毒済みの哺乳瓶が必要になりまして、移し替えるという作業は発生しますね。海外でも、お手持ちの哺乳瓶を使用していただくというのが一般的です。

ー発売に向けてのお話もお聞かせください。気になる発売予定はいつごろになりそうでしょうか?

2019年3月5日から、Glicoの通販サイト(グリコダイレクトショップ)で販売しています。
2019年3月11日からは、全国のドラッグストアやベビー専門店等でも販売致します。

>>アイクレオ赤ちゃんミルク販売サイトはこちら

ーでは最後に、液体ミルクをとおして日本の育児がこんな風になってほしいという想いがあればお聞かせいただけますか?

まずは、災害時の備えとして持っておくことで、液体ミルクが安心につながってほしいというところですね。
あと、私個人の願いとしては、液体ミルクが育児の負担を減らすことで、ご夫婦の笑顔が増えて欲しいと思います。最近はワンオペ育児という言葉がありますが、液体ミルクが、お父さんの育児参加のきっかけになって、子育てを取り巻くみんなが笑顔で赤ちゃんを囲んでいるような社会になってほしいと思っています。
育児を頑張っているお母さん、お父さんの負担を少しでも減らして、赤ちゃんと過ごす時間が笑顔でいっぱいになるように、精一杯取り組んで参ります。

ー本日はお忙しい中、ありがとうございました!

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